クール便 初恋
ハタチの成人式
これはハタチの正月に俺が実家に帰郷したときのエピソード。
ハタチの正月といえば成人式がある。みんな大阪ですっかり垢抜けした俺を見て、ちゃんと誰だか分かるだろうか?とワクワクしながら帰郷した。
昔一緒に馬鹿をやっていた仲間たちと、袴姿で、成人式に参加。
どいつもこいつも見かけは少し変わってしまったけど、本質的な部分は何もかわっちゃいない。だからまるで昔に戻ったみたいで楽しかった。
懐かしいやつらと会い、冗談をいいながらも、俺はある1人の女の子を探していた。
中学校時代の俺を振り返ると、その思い出をもれなく甘酸っぱいものにした人。
“恋愛”いやいやそんな言葉じゃ生温い。あれは確かに俺の“初恋”だった。
初恋の人
式が終わり、ホールでおのおの話している時に、俺はトイレといって抜け出して、“初恋”のあの子を探していた。
あちこち聞きまわって、探し回って、やっとある女の集団で彼女を見つけることが出来た。
昔のまま、だと思った。
もちろんそこにいたのは背格好も髪型も変わり、大人びた彼女だったのだけれども、その雰囲気は昔のまま、まるで中学校時代から時を飛んでここに来たかのよう。
すっかりみとれてしまった。
何度話しかけようと思ったかは分からないけれども、都会で垢抜し、それだけで成長したと思い込んでいた俺が馬鹿のように思えて、そんな自分が恥かしくて結局話しかけることが出来なかった。
話しかけることが出来ないのは今も昔も一緒だったので、ちょっとデジャブして苦笑い。
あれは我ながら切ない帰郷だった。